相続した土地の活用/気を付けたい節税対策

2024-03-28

土地や建物などの不動産については、使用しなくても保有しているだけで毎年税金がかかります。そのため、不動産を相続した場合には、不動産をうまく活用して節税につなげたいものです。土地を相続した場合に、土地活用にかかる税金や注意点などについて紹介します。

1.相続税だけではない。相続した土地にかかる税金。

相続によって土地を取得した場合には不動産取得税は課税されませんが、相続税が課税されます。また、課税されるのは相続税だけではありません。相続後、引き続き所有し続ける場合には、保有しているだけでも固定資産税および都市計画税の課税対象となり、毎年これらの税金を納めなければならなくなります。土地に係る固定資産税の税額は固定資産税課税標準額に原則1.4%(標準税率)を、都市計画税の税額は固定資産税評価額に上限0.3%(制限税率)を乗じて算出されます。

ただし、居住用家屋の敷地となっている住宅用地については、課税標準の特例が適用され、税金が軽減されます。具体的には、200㎡以下の住宅用地は、固定資産税の課税標準額が1/6、都市計画税の課税標準額が1/3に軽減され、200㎡を超える住宅用地は、固定資産税の課税標準額が1/3、都市計画税の課税標準額が2/3に軽減されます。

さらに賃貸や売却などの土地活用によって利益を得た場合には、不動産所得や譲渡所得に対して所得税がかかります。土地の貸付により利益を得た不動産所得にかかる税額は、総収入金額から必要経費を差し引いた不動産所得金額に税率を乗じて求められます。また、土地を譲渡したことにより利益を得た譲渡所得にかかる税額は、収入金額から経費(取得費と譲渡費用)と特別控除額を差し引いた課税譲渡所得金額に税率を乗じて求められます。

このように、土地の所有にはさまざまな税金が関係してきます。税理士などの専門家とともに税金の負担を抑えるような土地活用を検討することが大切です。

2.節税対策としての土地活用は総合的に勘案することが大切

節税対策としての土地活用の方法やその注意点について見ていきましよう。たとえば、相続した土地の上に賃貸住宅を建てて貸付事業用として活用する方法は、初期費用は大きいですが、家賃収入が得られると共に、住宅用地への転用により前述した固定資産税等の住宅用地の特例も適用されます。また、将来的には貸家付宅地として相続税の評価額が減額され、貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例が適用された場合、相続税対策としても効果があります。ただし、賃貸住宅の経営は、このような節税効果はあるものの、入居者を集められなければ収支がマイナスになる恐れもあり、リスクは高いといえます。

これに対して、土地を駐車場や資材置き場などに活用する方法であれば、初期費用を抑えることはできますが、住宅用地ではないため固定資産税等の住宅用地の特例は適用されず、相続税対策の効果を除くと税金を抑える効果はほとんどありません。また、土地を売却する方法は、固定資産税等を負担する必要がなくなるため、その視点では長期的に見ると節税になります。しかし、売却による多額の収入には所得税などが課税されるため、短期的には増税となる場合があり、節税効果は総合して判断する必要があります。

このように、相続した土地は放置せずに効果的に活用することによって、収入を得られるだけでなく、固定資産税などを節税することができます。ただし、土地の活用により効果的に節税するには専門知識やノウハウも必要になります。土地を相続する可能性がある場合は、あらかじめ税理士などの専門家に相談しておくと安心です。